マドリッドプロトコルによる出願 (通称:マドプロ)

Post date: 2017/01/27 2:35:49

正式名称

標章の国際登録に関するマドリッド協定の1989年6月27日にマドリッドで採択された議定書

概要

締約国の官庁に商標出願をしたか、商標登録を受けた者は、その出願または登録を基礎として保護を求める締約国を指定し、本国の官庁を通じて国際事務局に国際出願をし、国際登録を受けることにより、指定した締約国(指定国)において、商標の保護を受けることができる制度。

締約国

現在98か国で、主要な国は殆ど締約国(2017/01現在)。(加盟していない主な国:カナダ、台湾、香港、インドネシア、タイ、マレーシア等)

出願の条件

マドプロ出願をするには、本国で商標出願しているか、商標登録を受けていることが必要。国際登録日(国際出願日と原則同じ)から5年は、本国商標と運命を共にする。すなわち、本国商標登録(出願の拒絶・無効が確定すると、国際登録も消滅する。また、指定商品・役務を減縮すると、国際登録の指定商品・役務も減縮される(セントラルアタック)。

出願

本国登録と商標が同一でなければならない。指定商品・役務は、本国商標の指定商品・役務の範囲内であれば、変更可能。一出願多区分出願が可能。

国際出願の効果

一出願で複数の指定国に出願したのと同等の効果を得る。国際出願日は、原則国際登録日となる。

審査

出願した本国官庁では、方式審査を行う。

国際事務局では、分類と商品・役務表記を審査。欠陥通報が出される。欠陥がなければ、国際登録される。

国際登録がされた後、各指定国で識別性、先行商標の有無の審査を行う(審査国)。

各指定国は領域指定の通報から12ヶ月以内(又は18ヶ月以内)に拒絶の通報を国際事務局に行う。拒絶の通報がない限り、保護が与えられたものとされる。

登録の可否判断は、各指定国が独自に行う(商標独立の原則)。

拒絶の通報は、国際事務局から出願人に通知されるが、出願人は、国際事務局ではなく、拒絶の通報のあった指定国の代理人を通して指定国の官庁に応答する。

拒絶の通報がない場合は、保護が与えられたものとされる。登録の通知は行う国と行わない国がある。

更新

存続期間は、国際登録日から10年。更新手続きは、国際事務局に対して行う。本国官庁が日本の特許庁の場合は、日本特許庁を通じて更新申請をすることができる。存続期間満了の6ヶ月前に、国際事務局から権利者および代理人に通知が来る。実際の手続きができるのは存続期間満了日の3ヵ月前から。更新されると、国際事務局から各指定国に通知が送られる。

保護対象となる商標

保護対象となる商標は、普通商標の他に立体商標、音響商標等があるが、保護対象となるかは各指定国法制による。

事後指定

国際出願が国際登録された後でも、指定国を追加することができる。この制度を事後指定という。ただし、国際登録の指定商品・役務の範囲内のものしか指定できない。

事後指定の提出先は、国際事務局又は日本特許庁である。指定国において出願の効果が生じるのは、事後指定日。ただし、存続期間の起算日は、事後指定の日ではなく国際登録日となる。